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『大きな鳥にさらわれないよう』ネタバレ・考察・解説(第3章/全14章)

前段

更新が遅くなりましたね。

久しぶりに川上弘美さんの『大きな鳥にさらわれないよう』を読んでいこうと思います。

この記事はネタバレ増し増しで書かれていますので、まだ本を読んでいない方にはあまりお勧めできません。

ぜひ、本を読んでいただきたく思います。

しかし、前回も話しましたが第1章については、奇妙に世界観に触れてもらいたいため、ネタバレを読むことを推奨しております。

第1章の記事はこちら

 

sukosukoscorpion.hatenablog.com

 

今まで1章と2章を読んできましたが、まだまだ全体の世界観を掴むことはできていません。

今回はやりませんが、本を半分読んだあたりでそれまでに出ている謎や疑問をまとめようと思います。

それまで、お付き合いいただけますと幸いです。

 

 

第3章:緑の庭

 


◆主人公

第1章、第2章とはまた異なる人物です。

章ごとにフォーカスする人物を変えているので、その人が別の章で登場することはあれど続いて主人公ポジションで登場することはなさそうです。

この第3章の主人公は今までとは決定的に違う点があります。

それは、名前があることです。

名前は「リエン」といいます。

女の子でで母と二人暮らしをしています。

子供時代では友達の「ホワ」と毎日のように遊んでいます。

リエンの周りには、自分の母親とホワとホワの母親しかいません。

はじめてリエンの家にが来るまで男がどういうものなのかすら知らない状態でした。

 

◆初めての男

リエンが18歳になったころに家に男が来ます。

ここで初めて出る情報ですが、この世界では男より女の数が圧倒的に多いとのことです。

リエンと男が行為をして子供が4人生まれますが、全員が女の子です。

ホワの方にも男が来て5人産みますがそれも全員女の子です。

さらっと話しますが、リエンとホワは父親が同じなためもしかすると女が生まれやすい体質・遺伝子かもしれません。

そうは言っても女であふれかえることなんてあるのだろうか…

リエンの母は何故男が少ないのか説明する際に、「女の方が強いから」と話します。

どういう意味があるのか、今のところ分かりません。

 

◆2人目の男:クワン

初めての男が死んでしばらく経った後、クワンと言われる男が来ます。

クワンはリエンとは行為をせず、リエンの成長した子供たちとします。

何故行為をしなくていいのか母たちに聞くと「将来起こりうるインブリードの危険率の判定が煩雑になるから」と答えます。

お、おう?

何やら訳の分からない発言が出てきましたね。

インブリードを検索してみると以下のことがわかります。

インブリード (Inbreeding) とは、馬、犬、レース鳩といった家畜や愛玩動物の、近親交配のことである。その定義は交配する生物によって微妙に異なる。

インブリード - Wikipedia

つまり、近親相姦による遺伝子異常を危惧しているみたいですね。

男が少ない現状ならではの問題かと思います。

リエンはクワンの子が産みたくなり行為をしますが、妊娠がバレて母たちに監禁されてしまいます。

クワンとは二度と会えることはなく、産んだ子供(男)にも会わせてもらうことはありませんでした。

これだけで近親相姦をどれだけ危険視しているかがわかります。

 


まとめ

今までは人がどのように作られるのか定かではなく、少なくとも人から産まれるものではないと思っていました。

しかし、今回の章では人が人を産むということが明言されていたので、第1章と第2章に比べ時系列的に手前側の可能性があります。

あくまで予想ですが、男が減り続ける現状を打開するため、工場での人間生成・クローン技術が発展したのではないかと考えています。

 

最後に、クワンの話の中には興味深いものがあるのでそれだけ取り上げようと思います。

リエンの母親とホワの母親は死んだわけではなく、自ら家から立ち去ります。

そのことをクワンに聞くと、「去る母は寿命が来たから」と話します。

そして、「寿命が来ること≒死ぬこと」らしいです。

寿命が来たら死ぬんじゃないのかと思いましたがどうやらそうではなく、「寿命が来る」という言葉にはもっと別の意味を含んだ言葉のように思えます。

どういう意味なのか、分かるときがくるのでしょうか。

期待して読み進めようと思います。

 

 

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